ルーツは「青空市場」鮮度と安さに自信アリ
木肌もあらわなログハウス。その中に、今朝届いたばかりの新鮮な農作物がひしめきます。栗原市一迫エリアに建つ「あやめの里」は平成12年4月に「JA栗っこ」管内にオープンした産地直売所。74名の組合員は、一迫で農業を営む方が大半を占めているそうです。「すぐそばには『あやめ園』や『ゆり園』があって、見頃を迎える6月中旬頃から7月上旬にかけては、大勢の人が訪れるんですよ」と、担当の鎌田 忠一さんが笑顔で教えてくれました。
もともとこの場所は出荷物として数が揃わないものを販売する「青空市場」でした。そうした中、組合員からの「ぜひ屋根のついた売り場を」という声に応えて誕生したのがこの施設。それゆえ鮮度はもちろん、価格もお値打ちのものが大半です。この日も開店と同時に大勢のお客さんが押し寄せ、午前中にはほぼ棚が空になってしまうほどの盛況ぶりを見せていました。
消費者の視点に立ってより良い物をより安く
取材におじゃましたのは、夏から秋にかけての端境期。秋の作物には尚早でしたが、それでも多くの青果物が棚をにぎわせていました。「これからダイコンやハクサイがどんどん出てきますね。あとはリンゴや、ブドウ、ナシ。そして新米も!その頃が一番にぎやかな時期なんじゃないかな」と鎌田さん。そうなんです。この辺りは宮城県でも指折りの米どころ。例年10月半ばには「米まつり」として、市場価格よりお値打ちで新米を販売するイベントも控えています。また、米を量り売りするサービスもここならでは。1kg 単位で玄米を購入し、目の前で精米することもできます。
隣りにはレストラン「縄文」を併設。もちろん提供するメニューの材料は、採れたての一迫産です。実は売店で販売する加工品の試作場にもなっていて、購入する前にレストランで試食をすることもできるそうです。
生産者が積極的に関わり、消費者視点で運営することで、人気のサービスが生まれる。売り場には、そんな幸せな循環を感じさせる活気が満ちあふれていました。